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ゲートボールのルール(1)試合形式とゲートボールの特徴
ゲートボールのルールはかなり複雑です。しかし、野球やサッカーのルールに比べてずっと合理的にできているので、一旦原理を理解してしまえばとても簡単です。ここではルールの全体を漏らさず説明するのではなく、初心者に必要な部分のみを抜粋しています。全てを紹介しようとして消化不良になるより良いと判断したからです。
ルールブックを読むことは(持っていれば)初心者でもできますが、どのルールが特に大事かという重み付けは経験者にしかできません。この項ではまず試合形式について触れ、試合形式から見るゲートボールと他競技の違いについて説明します。
ちなみにゲートボールの日本語版ルールブック(公式ゲートボール競技規則)、および審判実施要領はネット上に無料の文章としては存在しません(英語版はあります)。競技規則、審判実施要領の冊子を販売することが収入源の一つになっているからでしょうが、競技の普及を大きく妨げているようにも思われます。
2015年版の公式ゲートボール競技規則および審判実施要領
ゲートボールのルールは4年に一度大きな改正があるので、最新のルールに情報を更新することが必要不可欠です。2015年はその改正の年でした。競技規則、審判実施要領が合冊で1500円程度で販売されているので、興味のある方は各都道府県ゲートボール団体から(先ほど述べた理由により書店では買えません)是非ご購入ください。
まあ都道府県ゲートボール団体にコンタクトを取ろうとする時点で、それなりにゲートボールに興味があるわけですけど、ルールも調べられないのにどう興味を持つんだという話です。
- ゲートボールのルールは複雑に見えるが極めて合理的にできている。
- ゲートボールのルールは4年に一度大きな改正がある。
- 何とルールブックが有料であり、入手方法が限られている。
試合形式:赤白のチーム戦で30分間の得点を競う
試合は5人対5人のチーム戦です。公式戦では3名の審判員(主審、副審、記録員)がつきます。主審、副審がゲームの進行、プレイヤーによってなされたプレーの判定を行い、記録員が各ボールの得点を記録します。審判員の役割、審判のやり方については別の機会で触れます。
同じチームのプレイヤーは赤または白の同色の球を持ちます。赤球を持つチーム、白球を持つチームはそれぞれ赤チーム、白チームと呼ばれます。各選手は赤:奇数番、白:偶数番の5個ずつのうち、自チームの色の「固定番号」1球を担当し、チームの5球の合計得点で勝敗を争います。得点はゲートを「通過する」たびに1点加算され、3つのゲートを全て通った後にゴールポールに当てると更に2点加算されます。公式戦では、打者は自分の打撃する番号と一致したゼッケンをつけなければなりません。競技時間には30分の制限があり、競技終了時点での合計得点の多いチームが勝利となります。
競技はターン制で、主審の宣告により試合が始まると赤1番の打順がまずコールされます。赤1番のプレーが終わると(終わる条件は後で説明します)、その後白2番、赤3番のように番号順に赤白チーム交互に打順が回ってゆきます。打順が白10番まで回ると、その後は赤1番に戻り、再び、赤1番、白2番のように番号順にコールされてゆきます。
大事なポイントは30分の競技時間が終了するまで打順は番号順に回り続け、各チームの打順が交互にやってくるということです。また前の打者のプレーが終わってから次の打者のコールがされるので、コート内でプレーする人数は常に1人ということになります。試合が開始されて最初の一周を一巡目といい、次の一周を二巡目、その次の一周を三巡目のように呼びます。通常のゲートボールの試合では大体5~6巡します。
赤1番から番号順に30分の競技時間が終了するまで交互に打順が回る。
細かいことですが、競技時間が終了した時点で打者のプレーが完結していない場合には、そのプレイヤーの継続打撃権(後で説明します)が消滅するまで試合を続行します。競技時間終了時点のプレイヤーが白チームの場合には、継続打撃権消滅即ち試合終了で構いません。赤チームであった場合は両チームの打撃機会を均等にするため、後続の白チームのプレイヤーのプレーが終了するまで競技を行います。赤白赤白とずっと来て、最後が赤で終わったのでは不公平ですから。
厳密に言えば、ゲートボールの試合時間はほとんどの場合、30分より少しだけ長いということになります。特殊な例をもう一つ挙げておきますと、いずれか一方のチームが全て上がりになった場合はパーフェクトゲームとなり、30分を待たずしてその時点で終了となります。
左:競技時間の30分が終了した段階での打者が赤チームの場合(この場合赤5番で競技時間終了)は打撃機会が両チームで公平になるよう、次の打者(白6番)のプレーが完結してから試合終了となる。右:競技時間終了時の打者が白チームの場合(白6番)はその打者のプレーが終わった時点でゲームセットとなる。ちなみに赤チームがパーフェクトゲームを達成した時も、同様の原理で次の白の打撃が終了してゲームセットとなる。
- ゲートボールは5人対5人の団体戦であり、30分の時間制限がある。
- 主審、副審、記録員、合計3人の審判員が必要となる。
- 赤チームと白チームとに分かれ、競技終了時のチーム合計得点で勝敗を競う。
- ゲートを通ると1点、ゴールポールに当てると2点入る。(詳しくは後で)
- 各選手は自チームの色の球を持って、競技時間中、自分の固定番号をプレーする。
- 打順は赤白交互で、10番までがプレーし終わると再び1番に戻る循環式である。
- 一方のチームの5球が全部上がるとパーフェクトゲームで30分を待たず終了する。
ゲートボールの特徴:ゲートボールは作戦が大事である
ゲートボールと他競技との違いに簡単に触れておきます。ゲートボールは他の多くの球技と違い、コート内でプレーする選手が常に一人です。二人以上の選手がコート内に入っているのを見かけたとしたら、何か揉め事が起きています(笑)
コート内に入ってプレーするのは常に一人ですから、一人が5球持って一人対一人のシングルスも可能です。ダブルスや三人制の大会もなかなか人気があります。少人数制の大会が人気とはいえ、ゲートボールの本流は5人対5人なので、基本的には球を打ってない時間の方が長い競技です。球を打っていない時間にいろいろと考えることが「暇」な時間を楽しむ意味で重要です。
ゲートボールが他の球技と最も大きく違うところはズバリ作戦の重要性です。遠くの球を当てたり、難しいゲートを通ったりするのは勝利に欠かせない技術です。しかし、チームの5球を協調して指揮する作戦が悪ければせっかくの技術も無駄になってしまいます。
「この場所にボールを送りたい」、「次の番号でゲートを通したい」、「5分後に逆転するためには何をしたらよいか」等、ゲートボールでは考えることがチームの勝利にとって非常に重要です。
世の中のスポーツといわれているものには必ず「作戦」が存在しますが、ゲートボールにおける作戦はより勝敗に直結しています。ターン制である、局面が記憶される(将棋や囲碁のように過去の手の履歴を持つ)、変数が多い(10個のボールの位置、得点、時間など)といった特徴がゲートボールにおける作戦の重要度を上げていると考えます。
ゲートボールでは人によって3:7~7:3までの幅がありますが、技術と作戦が概ね5:5くらいの重要度であると言われています。思い通りの作戦を行うにはそれなりの技術が必要なわけで、指そうと思った手を100%指せる将棋や囲碁とはまた異なります。作戦偏重ではいけません。技術偏重でもいけません。ゲートボールにおいて作戦と技術は車の両輪に喩えられます。作戦が技術を活かし、技術が選択できる作戦の幅を広げます。どちらか一方のみを鍛えても勝てないということです。
技術と作戦の関係
- ゲートボールでは技術と同程度に作戦が重要である。
- 良い作戦が高い技術を活かし、高い技術が選択できる作戦の幅を広げる。