>>1.基本&ルール >>1.2.道具とルール >>1.2.1.ゲートボールの道具

ゲートボールの道具

ゲートボールの面白さに触れるにはゲートボールがどんな競技かを知っておかなければなりません。ゲートボールの簡単なルール、必要な道具などをいくつかの記事にまとめました。

まずこの記事ではゲートボールに必要な道具を紹介します。次の記事からはゲートボールのルールをごく簡単に説明してゆきます。とはいえゲームの目的について何も知らないままだと、道具についての理解が進まないと思われるので、超簡潔にゲートボールのルールを説明しますと、団体戦で30分以内に相手より多くの点を取ったチームの勝ちというゲームです。道具(ハード)とゲームのやり方(ソフト)さえわかれば、ゲートボールは明日からでも始められます。

三種の神器(ゲート・ボール・スティック)+α

ゲートボールにおける三種の神器はゲートボール、そして球を打つスティックの三つです。これに加えてコートを設営するためのラインテープがありますが、常設のコートの場合は準備不要です。常設コートの多くはゲートやボールが備え付けられていますので、その場合は自分のスティックだけ持って行けば十分です。コートが常設されていない場合には、ラインテープ固定用の釘、U字釘、ゲートの位置を割り出すためのメジャーなどが必要となります。

最低限必要なのはこんな所ですが、試合中得点を記録するためのカウンター(別名:アームゲージ)や公式戦に出るためのゼッケンなどが補助グッズとしてあります。スティックの価格はピンキリなので何とも言えませんが、その他の部分は二万円もあれば新品を揃えることができます。以下コート+ゲート、ボール、スティックの順に説明してゆきます。

ゲートボールセット(コートテープとライン固定用のU字釘、ボール10個、ゲート3本、ゴールポール1本:新品購入時に撮影。)

カウンター(アームゲージ)の写真:時間と得点が記録できる。得点王(ニチヨー

ゲートボールのコートの大きさと各部の名称

ゲートボールのコートは15m×20mの長方形で、その外周がインサイドラインと呼ばれるラインで仕切られています。かつては20m×25mのコートもあったのですが、現行のルールでは廃止されて全て15×20に統一されました。インサイドラインの内側をインナーフィールドといい、ほとんど全てのプレーはこのインナーフィールドの中で行われます。このインナーフィールドのサイズ、15×20が事実上のコートサイズと言ってよいでしょう。

インサイドラインの外側50cm-1mのエリアにはアウトサイドラインがコートを取り巻くように設けられ、インサイドラインとアウトサイドラインの間をアウターフィールドといいます。小規模の大会ではアウトサイドラインの設置が省略されることがあります。横文字の名前が並んでいますが、普段の会話では、コートの「中」、「外」という表現の方をよく耳にします。コート面に関する規定は緩く、平らで障害物がなければOKです。よく目にするのは写真のようなクレー、人工芝、そして天然芝の三種類です。

実際のコートの写真(東京都江東区、第一ゲートから第三ゲート方面を撮影)

インナーフィールド内には図のように3つのゲートとゴールポールが設置されています。ゲートは実際の縮尺通りですが、ゴールポールは細すぎて見えないので拡大してあります。ゲートが意外と狭いことがわかるかと思います。ゲートには順番があり、それぞれ第一ゲート、第二ゲート、第三ゲートと呼ばれています。ゲートの内径は22cmで高さ(内側)は19cmとなるように、垂直に地面に打ち込むことが定められています。

コートの中央には太さ2cmのゴールポールがあります。名前の通り3つのゲートを全て通過した後にこのゴールポールに当てると上がりとなります。それぞれのゲート、ゴールポールがどの位置にどのような向きで刺さっているかは覚えてください。詳しい得点方法については後ほど説明します。

ゲートボールのコート:3つのゲートとゴールポールを赤色で示した。ゲートの近くの矢印が通過の向きを示す。(ゴールポール以外は縮尺率一定)

ゲートとゴールポール:倒れないようにしっかりと地面に打ち込む。ゲートが見やすいように各ゲートの上部に番号のついたゲート表示板を取り付ける。

コートの説明は終わりましたが、後で役に立つので補足しておくと、ゲートには図に示したような通過の向きがあります。そちら側から打つとゲート通過が認められるサイドのことをゲート前、ゲート表などと呼び、反対側をゲート後ろ、ゲート裏などと呼びます。コートの角や線にも名前がついていて、第一ゲートに最も近いコーナーを第一コーナー、第一ゲートに最も近いラインを第一ラインと呼びます。あとは反時計回りに第二、第三、第四と名前がついています。これらの呼称は作戦を理解する上において非常に重要なので必ず覚えてください。

ボールは奇数が赤、偶数が白の合計10個ある

ボールは赤白の合計10個あり、1から10までの通し番号が振られています。1,3,5,7,9の奇数番が赤2,4,6,8,10の偶数番が白いボールで、サイズが直径7.5cm、重さが230gあります。材質はかなり固めのプラスチック(ABS樹脂、ある程度の耐久性はありますが、数年使っていると割れてきます)でできています。

ボールには遠くからでも番号がわかるように、2つないし3つの番号が地とは反対の色で表示されています。奇数番は赤地に白文字、偶数番は白地に赤文字という具合です。ボールの直径が7.5cmであることを考えると、ゲートはおよそ三倍の幅があるため、通過させるのは簡単に思われますが、実際にやってみるとかなり難しいことがわかります。

やや先走りますが、同じチームは同じ色のボールを持ちその合計得点により勝敗を決めます。各チームの各打者は自分の番号一つを試合中打ち続けます。ボールの番号は単なる区別のためのマークではなく、ボールの番号順に打順が進むため、戦略面でも非常に重要になってきます。

直径7.5cm、重さ230gの赤白のボール5個ずつを用いて競技する。同色が同チーム。

スティックは個性の出しどころ

最後に最も自由度の高いスティックについて説明します。歴史的な経緯でなぜかスティックと呼ばれていますが、本来はマレットと呼ばれるべき槌状の形状をしています。スティックはヘッドシャフト部分に分けられます。

ヘッドは直径35mmから50mm、長さ18-24cmの円柱状を基本とすると日本のルールには記載がありますので、国内で流通しているヘッドはほぼその形をしています。昔のダイエーのマークのような円の一部を切り落としたような形状も見かけますが少数派です。海外ではヘッドに関する制限が緩く、方形のヘッド(长寿门球)もよく目にします。

ヘッドの重さには制限がないのですが、ほとんどのプレイヤーが400-500gのものを使っています。これは長いゲートボールの歴史の中、先人たちが試行錯誤を繰り返してこれくらいが良さそうだと決まってきた重量なので、よほどの信念が無い限りこの範囲のヘッドを使うのが無難でしょう。シャフトの長さにもよりますが430-480gあたりがバランス良く打てる範囲と言われています。

ヘッドの直径はミートポイントの広さに直結します。太い方がヘッドの芯が広いので、球を打撃する際の安心感があります。ヘッド径があまりに太すぎるとヘッドの向きの判断がしづらくなり狙いにくくなる印象があります。個人的な見解を述べると43-45mm程度が良いでしょう。

ゲートボールスティックの例:ハンマーのような形状で、先端のボールを打つ部分をヘッドといい、グリップのついた棒状の部分をシャフトという。

実際にボールと接触するヘッドの面のことをフェイスといいます。フェイスの材質は打撃感を大きく左右するのでスティック選びにおいては非常に重要なポイントです。ゲートボールは遠くに飛ばすことよりも方向性良く球を打つことが重視される競技ですので、球との接触時間が長く、方向性の安定するやわらかめの素材が若手の間では好まれているようです。やわらかめの素材には樹脂系(ジュラコンMCナイロンポリカーボネート)、強化木があり、固めの素材には、アルミ合金、ステンレス、チタンなどがあります。

金属ヘッドは耐久性も高く、力のない人でも遠くに飛ばしやすいというメリットがありますので、実際に打った感触で自分に合うヘッドを選ぶのがよいのではないかと思います。個人的な好みを言えば、強化木(打感もさることながら打撃音が良い)>ジュラコン>MCナイロン>ポリカーボネート(音が悪いが透明で美しい)、アルミ合金、チタン(耐久性抜群)>ステンレスです。

スティックの各部位と名称

スティックのもう一つの構成要素のシャフトですが、シャフト選びはヘッド選びと同等かそれ以上に大事です。現在最大のシェアを誇っているのはカーボン系のシャフトです。カーボン系の利点は打撃した際にしなりボールを遠くまで飛ばせることです。また打撃感がダイレクトに手に伝わりにくい、やわらかいという特徴もあります。

その対極にあるのが軽量スチールなどの金属系のシャフトで、打撃感が直に手に伝わります。またしなりがほとんどないため遠くに飛ばすにはあまり向いていません。ではカーボンの方がスチールよりも良いかというと必ずしもそうではありません。ゲートボールはゴルフと違ってボールを遠くに飛ばすことにそこまでの価値がありません。しなるシャフトは多くの場合、芯を外した場合に発生するシャフト周りのトルクによるねじれが大きいです。つまり打撃フォームが安定していないと芯を外した際に方向性が狂いやすいといえます。

一方、軽量スチールなどの固いシャフトではシャフト周りの剛性が大きく、芯を外した際の方向性の狂いが小さいです。私は技術にそこまで自信がないので、固いシャフトを使って安定感を出すことを目指しています。最近はカーボン系のシャフトの下部に編み巻き加工を施し、カーボンのしなりの良さを活かしながら、ねじれを軽減させたシャフトも売られています。御託を並べましたが、シャフトもヘッドと同じように実際に使ってみて感触の合うものを買うのがよいと思います。理屈から言えば固いシャフトの方が優れていると私は考えます。

スティックのしなり:角度αで振り上げた時、スティックのグリップ部分を延長した直線L1とヘッド連結部から延長した直線L2のなす角θがしなりである。スティックの素材がやわらかいほど同じ振り上げに対してθは大きくなるし、振り上げ角度αを高くするほどθは大きくなる。

スティックのねじれ:左の図のようにヘッドの芯で打つことができればシャフトをねじるようなトルクは発生しない。右図のように芯を外すと、シャフトまわりのトルクによりシャフトがねじれて球が意図しない方向に飛んで行く。元のヘッドの向きと打撃後のヘッドの向きの差をねじれ角θとする。同じヘッドスピードで打つなら、芯を外せば外すほどθが大きくなる。ヘッドスピードが速ければ速いほどねじれる。一般的に固いシャフトの方がねじれにくい。ヘッドの両端におもりが集中している場合もねじれにくくなる。

シャフト選びの際に材質の他に考えるべきは長さです。迷った場合は身長の半分前後の長さが良いとされています。短いシャフトを使うと、目とボールとの距離が近くなるため、芯を打つ確率が上がると言われていますが、体(特に腰)への負担は大きいです。長いシャフトは小さな動作で大きなパワーを生むことができ、姿勢の負担は小さいものの、芯を外しやすいため、細心の注意を払って打撃する必要があります。一長一短です。

シャフトとヘッドが決まればスティックはほぼ完成です。仕上げとしてグリップを調整する必要があります。そのままのグリップで良いという方もいれば、テニスやバドミントンのようにグリップテープを巻く場合もあります。私はスポンジテープ+テニス用のグリップテープ(ドライタイプ)で自分の好きな感じに調節しています。

スティックはどこで買えるのかということについて触れたいと思います。実際に試し打ちして買える地元の業者さんを通じて買うのが一番良いと思います。フィードバックもかけやすいです。ある程度知識のある方は直接メーカーに言ってオーダーメイドというのも考えられますが、初心者の方は地元の業者さんに頼むことを強くおすすめします。

ちなみに今まで私が使ってきたスティックのメーカーは、サンシャインエース、村上木工(現在はスティック製造していない)、ティエヌケイシャトルです。他にもメーカーはたくさんありこのリンクから調べることができます。

スティックは個人の所有物なので、皆さんいろいろと工夫を凝らしているようです。最近はおしゃれなスティック(特にサンシャインエース)も多いのでびっくりするかもしれません。